こんにちは(^^)
最近発達障害と診断されたASD歴40年のharuです。
ASDタイプ本人がASDの特徴について語りたいと思います。
今回は、社会生活を困難にさせるASDの特徴「想定してないことに対処できない」です。
想定外の事態なんて誰でもパニックになったり対処ができなかったり…ていうのは当たり前。
ASDの言う想定外というのは一般的なそれとは全く違っています。
・急に地震や台風などの天災に遭う
・予期してない事故に遭遇する
・イスに座るタイミングでイスを引かれる
こういった想定外の事態は誰でもビックリしたりパニックになったりで、対処することが難しいのではないでしょうか?
でもASDタイプにとっては、地震とか事故っていうのは想定外な事には当てはまらないことが多いような気がしています。
なぜならASDタイプにとって、災害や事故なんて確率論で必ず起こることが予測できているからです。
地震が来るかもしれないってずっと思っていたら、いざ地震が来たときにまず何をするか?とかどこに避難するか?とか前もって準備ができますよね。
想定していることには誰でも簡単に対処できるはずですよね。
ASDタイプはそこそこ記憶力が高く、発生する可能性のある事故や災害などに対処できる最善の行動を、知識や情報として頭の中の取り出しやすいファイルとして保存しています。
過去に見た、災害を特集したテレビ番組やサバイバルをテーマにしたマンガなんかの知識がずっと記憶されているので、「乗っている船が沈没したら〜」とか「無人島に取り残されたら〜」といった状況にも最善の対処できる。まぁ最善といっても情報元がマンガとかテレビの知識だったりするので間違った知識の可能性もありますが、少なくともパニックになったり思考停止したりすることはありません。
これは、ある意味ASDタイプの強みでもありますね。あんまり利用できる機会はありませんがね…(^.^;
では、ASDタイプにとっての想定外とは?
ASDタイプの言う想定外とは人とのコミュケーションに関すること全般の予期できない出来事が多い。
と言っても、目の前の人が急に暴れだすとかいった類のものでもないです。
どういうものかというと、想定外の質問とか予期しない人から話しかけられることなど。
例えば、ボクが最近フリーズした出来事です。
ホームセンターでの買い物のあと駐車場で自分の車に乗り込もうとした瞬間、後ろからおじいさんから声をかけられました。
「車のエンジンかけてもらえますか?」と。
この瞬間、ボクはパニックになり思考停止状態になりました。
なんでこんなことでパニックになるの?って思いますよね。そうなんです一般的な方からすれば意味不明なところでパニックになります。
ボクも意味がわからない。「えっ………」って感じでとにかくその状況から脱出するために促されるままにその老人の車のエンジンをかけてあげて、さっさと立ち去ろうとします。
こういうときはだいたい謎の不快感があるんですが、その時は不快感の正体もよくわからない。で、必ず後で後悔する行動をしてしまうことになります。
なぜこんな一言でパニックになるのか?
単純にボクにとっての想定外の出来事だったから。
後々自分で分析するのですが、このパニックの原因となった想定外は3つ。
一つは、声をかけられるはずのない場面で声をかけられたこと。
ボクは、人から話しかけられるリスクの少ない場面ではスイッチOFF状態になっています。OFF状態のときは、他人から話しかけられないように気配を消し、早足で歩いて、ワザと忙しい素振りなどして「話しかけるなオーラ」を出しています。
なのに、まさかの話しかけてきた人間が存在したという事実に先ず驚かされた。
2つ目の想定外は、相手の態度の意図が分からない。
「車のエンジンをかけてもらえますか?」という質問文のような要望は、ボクの感性で言うと、お客様と店員さんのような関係性のときに使える言葉です。その文面は見ず知らずの他人に使うことのできる言葉ではなかったからです。
ファミレスで店員さんに言う「水もらえますか?」と同じ。つまり、水を持ってくるのが当たり前の人に対して「水ちょーだい」と伝えるための言葉です。
なのにその老人の、ボクがエンジンかけるのがさも当たり前かのような文面で話しかけてきた。
もし店員さんに見えていて話しかけてきたのなら訂正してあげないといけないし…などなど、その謎の解明に思考が持っていかれました。
そして最後の一つは、言葉の意図が理解できなかったことです。
先ず、車のエンジンとはどの車に対してなのかが分からなかった。ボクの車のエンジンをかけてとお願いされているのか、老人自身の車のエンジンなのかが分かりません。
もうこの時点で、ボクの仮想メモリ容量がオーバーしています。
結局、その老人の車のエンジンをかけてという要望だとわかったのですが、その奇妙な要望に至るまでの経緯が全く想像できません。
だって、その老人はホームセンターに買い物に来るために自分で車を運転してきたんじゃないのか?エンジンをかけてと他人に頼むのはおかしい。
仮に、指がちぎれてしまったのでエンジンのスタートボタンが押せません…みたいな状態ならまだ納得できます。
とにかくボクの想像力では解決できません。
と、まあこんな感じがパニック状態を起こすボクの思考です。
ASDタイプは経験や知識がなければ基本的に何も対処できません。
ボクはホームセンターの帰りに老人に声かけられて、エンジンかけてと要望された経験が今までに一度もありません。なおかつ、そんな状態をマンガやドラマなどで見てリアクション方法を学んだこともありません。
これがASDタイプにとっての想定外の正体です。
経験していない出来事、知識や情報がない出来事すべてが「想定外」なのです。
ASDタイプは、その場その場で瞬発的に物事を考えて的確な正解を導き出すことができません。それが、苦手な「人との関わり」によるものなら特に困難です。
だから知識や経験を頭の中にテンプレートとしてできる限りたくさん保存していて、その情報を使うことでようやく人とコミュケーションをとることができるのです。
逆に言えは、ASDタイプの人がすらすらと言葉を操ってコミュケーションしているとしたらそれは、過去に経験した事か若しくは知識として保有している情報であると言えますね。
ASDにとっての想定外の重大性
老人から話しかけられるような想定外はASDタイプにとっては一大事です。
そんなアホな(・∀・)って思うかもしれませんね。確かに災害や事故などの想定外の方が重大ですよね。
先程も少し書きましたが、ASDタイプの想定外が発生したときは謎の不快感を感じることが多い。リアルタイムではその不快感の原因が全くわからないのですが、後々時間が経てばその不快感の正体に気付いて必ず後悔します。
今回の、「老人の車のエンジンかけてあげた」事件。聞こえは人助けでなのですが、ボクはスゴく後悔しました。
リアルタイムでは、思いつきもしなかったですが、「あの車は盗難車なのではないか?」とか「エンジンのかけ方も分からない老人は車を運転したら危険やん」「もしあの車で事故でも起こしたら…」「ボクが悪事に手をかしてしまったのではないか?」とか考えだしたら頭から離れなくなり恐ろしくなりました。
思考というプロセスを経ず起こした行動は必ずよからぬ結果に結びつきます。
この後悔や罪悪感は尾を引きます。マジで3日くらい頭から離れないし、何週間経ってもたまに思い出してすごく嫌な気持ちになる。
実際に、10年以上前の出来事でもフラッシュバックすることがあるくらいなので、ボクにとっての想定外は恐怖でしかありません。避けながら生きていかないとどれだけのダメージを受けるかわかりません。
たったこれだけの事実でもASDタイプの内面に付ける傷は半端ではないのですから。
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